院長日記

第63話 脂肪吸引手術は危険だろうか?


先日、「またまた、あの美容外科で死亡事故があったよ。本当に迷惑だし、うんざりだよなあ。」と、朝一番で友人から電話がありました。
その後も同様の電話があちこちからあったのですが、不思議な事に、何故かその日、当院では脂肪吸引の手術が多く、また何故か脂肪吸引の相談の方が多く来院されました。
かなり古い話ですが、アメリカでも脂肪吸引手術での死亡事故が多発した時期があって、これは、当時、脂肪吸引手術の所謂認定医賞のようなものを無闇に多発したのが主な原因でした。
脂肪吸引手術は、一部の(安易な)医者達から見れば、一見たやすい手術のように思えるのかも知れませんが、広範囲をブラインド(直視下では行えない)で行う手術ですので、やはり、相当数の経験が必要になると思いますし、そこにはセンスもかなり重要になります。
上記のようなチェーンクリニックにありがちな、安売り、ディスカウント、キャンペーンが売り物の施設では、医者の採用には、経験値なんてほとんど問わないのだろうし(そうしないと医者を確保出来ないのが実情で)、雇われる医者にしたって、給料の高い、安いにしか興味をそそられないのだと思います。
不景気になればなるほど、売上げ競争に走らざるを得ない訳で、当然、医療の質はどんどん落ちるし、事故(過失)につながるのだと思います。
昔から付き合いのある親しい美容外科医は沢山いますが、仲間内では、このような事故の話は聞いた事がなく、このような医療事故(事件)の話が出るたびに、かなり違和感があるし、怒りを覚えます。
適応をしっかり見極めて、ちゃんとやれば、脂肪吸引手術って、相当安全な手術だし、とても有効でよい治療法だと思いますよ。