院長日記

第54話 鼻先の手術あれこれ


鼻における美容外科手術は、はるか昔(30年ほど前)は、鼻全体を高くする手術がほとんどで、その場合、シリコンプロテーゼと呼ばれるインプラントを挿入していました。
かなりイメージの悪い、どこか闇の世界でごくごく一部の人たちだけにしか知られていない美容整形だったのが、美容外科という標榜科目が出来て、いつしか当たり前のように美容医療が行われるようになってきて、今では様々な種類の鼻の手術が行われています。
先日、まったく同じような鼻の形態の方が二人来院されました。
いずれもが、丸い印象の鼻先を改善できないものか、との相談です。
一人は、2ヶ月ほど前に他院で手術を受けられていました。両側の鼻の穴を1cmほど切開し、鼻先を形作っている軟骨を薄くして、糸で固定するような手術を受けたとの事。鼻先の変化は全くなくて、一部少し盛り上がった部分が出来て、テープ固定を続けるよう指示されるばかりで、不信感が募り、当院を受診されました。
鼻先をやはり細くしたいのと、小鼻をもう少し小さくしたいとの要望でしたが、まず鼻先をほっそりさせる手術を受けられて、その後、経過を見てから、必要であれば小鼻の手術を検討されてはどうですか、とお伝えしました(以前受けられた手術がうまくいっていない点については、当然詳しく説明させていただきました)。
もう一人は、他院で一度診察を受けられていて、幾種類かの手術を勧められ、200万円の見積もりを提示されたとの事。
鼻筋がきれいに通っている方で、鼻骨が張り出している方でもなく、そういう見積もり額が全く理解出来ないのですが、鼻先をほっそりした印象にすれば十分ではないでしょうか、とお伝えしました。
鼻先を高くする、細くする、では手術方法が異なりますが、上記の二人の方は後者の場合で、鼻尖の軟骨の厚みを減じた上でその形態を変化させる手法(この場合は鼻の穴からの切開が必要です)はとらず、ナイロン糸を用いた切開を必要としない手法を選択しました。
美容外科で行われる手術で、鼻先の手術はかなり困難な手法の部類に入ると思います。
ヒアルロン酸の注入で、今や鼻根部などは簡単に高く出来ますし、インプラントによってある程度は鼻の形を作れますが、鼻先となると一気にその難易度は高まります。
いつもの事ではありますが、受診者の方が、その治療法で満足度が得られるかどうか、だけの判断なんですがね。
因みに、日本人の場合、あまり大きくなくて、少しほっそりとした印象の鼻を好まれる方がほとんどです。