院長日記

第32話 シミに酸性水?


先日、シミの診察を受けに来院された30代後半の3人組の女性。
一人は、肝班と、皮膚への慢性的な刺激によって出来たクスミを合併している方で、一人は、境界が明瞭な老人性色素班(まるいやつです)、もう一人は、おでこに出来た炎症後色素沈着(化粧品に配合されている油が原因ですが)と頬骨のあたりのクスミ、ホホの赤み(慢性的な炎症によるものですが)を合併している方でした。
それぞれに順序だてて説明しようとするのですが、なかなか話を聞いてくれません。これこれの化粧品を使っているし、それでシミが治った友人がいるだの、どこそこのエステはよいだの、おまけに、今使っている酸性水の事を、どこそこの病院の院長に聞いたら、そのまま使用しても良いと言われただの、もう全く診察を受けに来られたのか何なのか、話にならない状況でした。
実はこのような受診者の方は結構おられて、慣れてはいるのですが、治療成績は明らかに劣るので、毎回少し陰鬱になります。最低限これだけでも言う事を守っていただけたら良くなるものを、と思うので。
酸性水、中には強酸性水だの超酸性水だのと呼ばれるものがあるようで、これで確かに、シミが消える、アトピーが治る場合が万に一つはあるので、これがやっかいなんですが、それ相当の理由があって、一般的には絶対に使用すべきではありません。殺菌作用しかなく、薄めた塩酸を塗るようなものですから。
逆に、強アルカリ水も存在しますが、アルカリ度が強くなると蛋白質が融解しますので、うまくいけば肌質がよくなったように思うのですが、これも使用すべきではありません。
上記のような方は、概ね自分自身の手でシミを作っている、肌を汚くしている方が多く、出鱈目な情報に簡単に惑わされているようです。