院長日記

第30話 やれやれ大学病院


先日来院された60代の女性。40年程前に隆鼻術(鼻を高くする目的でインプラントを挿入する手術ですが)を受けられて、鼻先からそのインプラントが飛び出してきたため、某国立大学の付属病院を受信され、飛び出た数ミリのインプラントを取り除く処置をされ、経過を見るように、との事。状態は醜くなるばかりで1ヶ月経過するも、その部分の消毒のみなので、どうしようもなく来院されました。
挿入されているインプラントの材質や、その形状、挿入部位など全てにおいて問題があるのですが、当時ではこのような手術レベルだったようで仕方ない、とも言えます。恐らく急にインプラントが飛び出してきたのではなく、鼻先はかなり以前より赤くなってきていたはずで、御本人が放置してきたのにも問題はあります。
ただ、飛び出たインプラントを少し削って放っておくなど、もってのほかで、感染はどんどん拡がるし、鼻先に開いた穴はどんどん醜くなります。インプラントをすべて取り除いて、鼻先の傷の処置をまず適切におこなえばいいものを、と思います(当然そのような処置を施しましたが)。
大学病院に、経験のある美容外科医などあまりいないだろうし、こんな手術(隆鼻術)を受けて、と言った蔑視も多分にあるに違いない、と感じます。
大学病院が悪くて、街の美容外科医がよい、などと言いたいのでは決してなくて、ただ、消費者の多くは大学病院での治療には当然期待する訳で、安易に美容外科の看板を掲げないで欲しい、と思います。